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最高裁判所第三小法廷 昭和52年(オ)893号 判決 1977年12月23日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人小原邦夫の上告理由一、三について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

同二について

原審が適法に確定したところによれば、訴外水村組こと佃国丸は、ゴルフ場の建設工事代金として訴外笹谷新吾から一月ごとに満期の到来する本件手形を含む約束手形数通の振出交付を受けたが、本件手形は昭和四四年二月上旬に振出され、佃から株式会社サカエ商店、上告人と順次裏書譲渡されたものであるところ、被上告人は、昭和四三年一二月二八日笹谷の代表取締役の資格喪失及び取締役退任の登記をし、遅くとも同四四年一月七日か八日には右登記事項につき登記簿を閲覧することが可能な状態にあつたというのである。右事実関係のもとでは、佃が笹谷の代表資格喪失を知らなかつたことにつき商法一二条の正当事由があるものとはいえないとした原審の判断は、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 高辻正己 裁判官 天野武一 裁判官 江里口清雄 裁判官 服部高顕 裁判官 環 昌一)

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